ここ最近、太めのカーゴパンツの人気が高まっている。その背景を紹介する。
2024年の太めのカーゴパンツ人気の背景1Y2Kファッションの復活
1990年代から2000年代初頭に流行したスタイルやアイテム、いわゆるY2Kファッションが10代から20代前半くらいの若年層の男女の間で一大ムーブメントとなり、その流れのなかで太めのワークパンツがイットアイテムとして人気を博している。ユニクロのワイドフィットパラシュートカーゴパンツは、トレンドに合うルーズなシルエットとコストパフォーマンスの良さから、人気アイテムとなった。GUのスーパーワイドカーゴパンツは、さらにルーズなフィッティングで特に10代から20代前半程度の若年層男女の間で人気だ。その一方で、カーハートやディッキーズといった定番のワークウェアスタイルのブランドがインラインで展開しているルーズフィットのカーゴパンツや、古着屋等で取り扱われる M-65 フィールドパンツは、かねてより硬派なスタイルを好むメンズの間で安定的な人気をキープしていたが、ここにきてさらにニーズの高まりを見せている。
2024年の太めのカーゴパンツ人気の背景2ストリートスタイルを取り入れるハイブランドとセレブリティによる影響
ストリートスタイルをハイブランドが取り込む中で、直近ではバレンシアガやヴェトモン、JW アンダーソン、ロエベ、マルニといったブランドがカーゴパンツを発表している。さらに、セレブリティやアーティストの影響も大きく、カニエ・ウェスト(Ye)、トラヴィス・スコット、リアーナ、ビリー・アイリッシュが、ルーズなカーゴパンツを愛用しており、多くのフォロワーが憧れるセレブのスタイルを実現するのに必要なアイテムとして広がっている。下の2023年8月にNYにて撮影されたトラヴィス・スコットのショットで、プラダのルーズフィットカーゴパンツを着用しているのがわかる。
2024年の太めのカーゴパンツ人気の背景3SNS投稿によるさらなる人気加速
太めのカーゴパンツは、TikTokやInstagram における、より身近なインフルエンサーによる投稿により広く紹介され、人気に拍車がかかっている側面がある。TikTokでは#cargopantsの動画再生回数が4.5億回を超え、Instagramでは#cargopantsの投稿数が300万件を超えている。そのような投稿を見て、実際に自分でカーゴパンツを購入し履いている写真を投稿する…それを見た友人もまたカーゴパンツに興味を持つというサイクルが生まれていると考えられる。また、2023年に入って間もなく、Googleトレンドにおける「Cargo Pants(カーゴパンツ)」の検索量は前年同期比で約30%増加している。「ワイドカーゴパンツ」や「太めのカーゴパンツ」といったキーワードに絞っても、10%以上の伸びを示しており、ストリートファッションの一部として確実に注目度が上昇しているのがわかる。
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2024年の太めのカーゴパンツ人気の背景4キレイめの大人っぽいスタイルが中心のピッティでも着用者が急増
ピッティウオモといえば、比較的キレイめで大人っぽいスタイルに身を包んだメンズが多く集まるイベントだ。そんな同イベントでも太いシルエットのカーゴパンツの着用者が数多く見られた。Y2Kスタイルに新鮮さを感じるストリートキッズのみならず、過去にY2Kをリアルタイムで体験してきた、現在ではドレスウェアをサラッと着こなすような大人ファッショニスタの間でも同アイテムが受け入れられている。襟付きシャツやテーラードジャケット、ニットTシャツなどに合わせてトレンド感覚と品の良さを兼ね備えたスタイリングは、大人男子にとって参考になる要素が盛りだくさんだ。