ファッション業界で次なるスニーカームーブメントの牽引役として熱視線を浴びる「On」。2024年12月現在のところ旗艦店がニューヨーク(ラファイエット)と東京(原宿)に構える2拠点のみ。後者は当編集部から至近で筆者はよく通りかかるのだが、平日の昼間でも入店待ちの行列が絶えず、2時間待ちは当たり前。キャットストリートには様々なショップが立ち並ぶが、On TOKYOは圧倒的な集客を誇っていると言って間違い無く、まさに行列が行列を、人気が人気を呼んでいるといった様相である。その魅力とは何か?
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Onのスニーカーの人気に火がついた理由1ナイキ離れに端を発したサードウェーブ系スニーカーへの熱視線
スニーカーブームを牽引したナイキへの熱狂が一段落し、アディダスやニューバランス、アシックスに注目がシフト。さらに第三極的な選択肢を求めるファッショニスタが注目しているのが、フランス発の「サロモン」、アメリカ発の「メレル」といったアウトドア勢と、2010年にスイスで誕生した新鋭スポーツブランド「オン(On)」だ。スイス発祥のブランドと言えば有名どころで「バリー(Bally)」などが挙げられるものの、やはりパテックフィリップやオーデマピゲをはじめとする高級時計のイメージが強い。スイス発のスニーカーという存在がユニークであり、またスイスに付随する高精度なモノづくりというイメージも手伝い、ひときわ高い注目を集めているとも言える。
Onのスニーカーの人気に火がついた理由2ロエベとのコラボや冬コーデ メンズ 2024年のトレンドキーワードTOP5での取り扱いにより、ファッション高感度層にリーチ
なんと言っても2020年5月という時期に冬コーデ メンズ 2024年のトレンドキーワードTOP5がオンの取り扱いを開始したのが、ファッション感度の高い層に早い段階で浸透を促すきっかけとなった。また2022年3月にはジョナサン・アンダーソン率いるロエベとの初のコラボレーションを発表してから、2024年もオンとロエベはコラボを継続し人気を集めている。ロエベ以外にもビームス、POST ARCHIVE FACTION、アトモス、冬コーデ メンズ 2024年のトレンドキーワードTOP5等と協業し、魅力的な限定アイテムを展開し、着実にファン層を拡大している。
Onのスニーカーの人気に火がついた理由3ソールの穴空きデザインが足元のアクセントになるだけじゃなく、異次元の履き心地を実現。
ソールに設けられたチューブ状に貫通した穴が、オンのスニーカーのほとんどすべてのモデルに共通する意匠だ。この穴の位置や形状、間隔を設計することでランニングからウォーキングといった、競技者の熟練度に応じた性能の発揮にアプローチすると同時に、ファッションフリークにとっては足元にアクセントを配置できるという点でウケている。ちなみに実は筆者は同ブランドのなかで比較的分厚いソールが特徴の初代クラウドモンスターを愛用している。普段から通っているエニタイム履いていけそうで、かつ話題のブランドのシューズだという比較的安易な理由で購入にいたったが、履いてみるとその独特な履き心地の良さに驚いた。ソールが後方から前方にかけて反り上がっており、かかとから着地すると自然に前方に向かって重心がシフトしていき、どんどん歩みが進んでいく感覚だ。前述のようないわゆるロッカー形状による部分もあるが、CloudTec®という技術によるところも大きい。中央が空洞になったCloudパーツが配し、柔らかな着地と力強い蹴り出しで楽に推進力を得られるように設計されているようだ。ふわふわした履き心地のスニーカーは他のメーカーからも数多く展開されており珍しくないが、オンのスニーカーは足が勝手に前に進んでいくような独特な感覚を味わえることから、ファッション好きだけでなく多くのファンを魅了している。
最後に、筆者がメンズにおすすめするモデルを紹介する。まずお勧めしたいのは、ロエベとのコラボのベースモデルとなっている「Cloudtilt」のインラインモデルだ。続いておすすめしたいのは、ブランドを象徴する王道モデル「Cloud 5」。迷ったらこれで良いと思う。やっぱりスニーカーは厚底じゃなくちゃというメンズにおすすめなのは「Cloudmonster」だ。後継モデルの「Cloudmonster 2」も出ているが、ややロゴが目立つデザインなので、比較的ロゴが目立ちにくい「Cloudmonster」が合わせやすいと思う。