革靴好きの夏の装いに最適なのがグルカサンダル。今回は、150年近い歴史を持つイギリスの老舗シューズブランド「Church’s(チャーチ)」の作るグルカサンダル「Fisherman(フィッシャーマン)」にフォーカスし、その魅力を紹介！
スポンサーリンク
「Church’s(チャーチ)」は現代の革靴の原型を作ったと言われている英国の老舗シューズブランド
「チャーチ(Church’s)」が創業したのは1873年。靴文化の長いイギリス国内でもとりわけ歴史のある老舗のシューメーカーでありシューズブランドだ。1870年代は、靴といえばビスポークシューズが当たり前で、既成靴や軍人の軍靴などはビスポークシューズの廉価版のような存在だった。また、足の形の向きや左右差や骨格について注視していなかった当時、靴のラスト(木型)は左右同型のものが使用されていたという。そんな時代に、当時イギリス軍の軍靴の生産に携わっていたチャーチが、初めて左右違う木型を利用した靴「アダプタブル(=適合性)」の設計技術を提案して注目を集めた。靴のサイズ運びにそれまでなかったハーフサイズを作ったのもチャーチだと言われている。
アメリカにて発明された靴の底付の機械縫いを実現するウェルトミシンを用いたグッドイヤーウェルテッド製法を、いち早く取り入れたイギリスのシューズブランドとしても有名だ。今でこそ、上質な革靴の代名詞としても馴染み深いグッドイヤーウェルテッド製法だが、上がっていく生産性とその効率化が進むことに当時はブランド内外で難色を示す職人も多かった。しかし、新たな技術を取り入れてもなおチャーチの変わらないクラフトマンシップの姿勢は、他のシューメーカーへの影響が大きく、続くように多くのシューメーカーがマシンメイド、グッドイヤーウェルテッド製法を採用。「イギリス靴＝グッドイヤーウェルテッド製法」という現代のイメージを定着させるほど、チャーチはイギリス国内にグッドイヤーウェルテッド製法の技術を広める礎となり、その功績から“英国既成靴の父”とも呼ばれている。
クラシックとトレンドの両刀使いによって生まれたグルカサンダル「Fisherman(フィッシャーマン)」
創業時から新しい製法や手法を積極的に取り入れていたチャーチ。これまで築いてきた伝統的な革靴作りを続けてきたチャーチだが、1999年にプラダの傘下に入ったことでクラシックシューズを落とし込んだようなデザインや、これまでにない様々なマテリアルに挑戦することでトレンド感のあるものづくりにも力を入れることとなった。伝統的なシューズブランどのつくるモダンなデザインは、瞬く間に人気を獲得。そんなモダンな革靴デザインの展開で生まれたモデルのひとつが、英国由来であるグルカ兵のサンダルをデザインソース仕上げた「Fisherman(フィッシャーマン)」だ。
英国由来のグルカサンダル。チャーチのフィッシャーマンは英国老舗のシューズブランドらしい品がある仕上がり
グルカサンダルの起源は、インドがイギリス領だった19世紀ごろ。英国東インド会社の利権を守るために隣国ネパールの山岳民族から構成した部隊“グルカ軍”に支給されていた軍靴が由来とされている。グルカ軍の活動場所は熱帯地域だったため、従来の軍靴では通気性が悪く、健康的トラブルも多かったという。そんな問題を解消するために、革靴大国であるイギリスがレザー製のサンダルタイプの軍靴を発案。甲に何本もテープ状のパターンを這わせることで足を動きやすく調整しながら、通気性を大幅に改善することに成功した。サンダルながら甲と踵(かかと)は革靴と同等にしっかりとホールドされるため、足場の悪い環境や野外の設営でも脱げづらく、グルカ兵に重宝される靴となったという。昨今では、そんなグルカ兵用のレザーサンダルをソースにデザインされた革靴を「グルカサンダル」と呼ぶ。チャーチで展開されているグルカサンダルは、革靴作りに長けた英国の老舗のシューズブランドらしい上品な仕上がりが魅力だ。
この投稿をInstagramで見る
チャーチのフィッシャーマンは革靴のような表情を持つ
元々が革靴のような履き心地を意識した軍靴をベースにしているサンダルのため、革靴のような安心感のある履き心地や足あたり、ホールド感があるグルカサンダル。足に吸い付くような履き心地で、履いていて足が疲れづらいのも大きな利点だ。そんなライク・ア・シューズのサンダルに、チャーチが長年培ってきた革靴作りのハウトゥーが落とし込まれれば、高級感のあるサンダルに仕上がることは言わずもがな。使用しているレザーは、チャーチの代名詞とも言える「ポリッシュドバインダーカーフ」や、レザーの透明感と深みのある色合いが人気のアンティークレザー加工が施された「ネバダカーフ」など、他の定番革靴で使われる素材と同じものを使用している。
サンダルなのに品があるからカジュアルな夏のメンズコーデも簡単に格上げ！
夏のサンダルというと、一気にカジュアルな印象が強くなるアイテムだが、チャーチのフィッシャーマンは上で触れたような他革靴モデルと同等の高級感のある素材選びに、150年の意匠を持つ熟練の職人が手にかけている高級感のあるレザーサンダルだ。肌の露出も比較的少なく上品な印象で、普段では革靴をチョイスするような品のあるコーディネートの足元にも違和感なく合わせられる。夏の装いの足元に適度な涼感を演出しながら、引き締めるような品をプラスするなら、チャーチのフィッシャーマンは有力な選択肢になるだろう。
チャーチのフィッシャーマンは豊富なカラーバリエーションを展開！
夏のコレクションだけあって、様々な明るいカラーが展開されているチャーチのフィッシャーマン。定番のブラック、ブラウンだけでも毎年様々な素材でコレクションが展開されている。
フィッシャーマンのカラー展開①「ベーシックな“ブラック”」
革靴で最も売れている革靴の色は万国共通でブラックだ。日本の百貨店でも、メンズ靴の売り上げの8割近くの売り上げがブラックを占めている。もちろん、チャーチのフィッシャーマンでも例に漏れず、ブラックの人気が一番高い。汎用性が高いフィッシャーマンのブラックはラフなコーディネートだけではなく、ジャケパンスタイルなどの上品な着こなしの足元にもすんなりハマる。
フィッシャーマンのカラー展開②「デニムスタイルに合わせやすい“ブラウン”」
ブラウンはコレクションごとに多岐な色や素材を採用している。チャーチのブラウンレザーといえばアンティーク加工のネバダカーフが有名だが、それ以外のカーフやスエード革などを使用したモデルが展開されることも。ブラウンはカジュアルスタイルとの相性が非常に良く、デニムパンツやチノパン、綺麗めカジュアルはもとより、ラフスタイルをドレスアップするようなコーディネイトにもおすすめのカラーだ。秋口には厚手のソックスを履いてコーディネイトを楽しむ洒落者も多い。
フィッシャーマンのカラー展開③「夏らしい爽やかな“ホワイト”」
プラダの傘下に入ってから、より様々なデザインや素材、カラーを展開するようになったチャーチ。特に革靴の中では珍しい爽やかなホワイトは、男女ともに人気が高い。爽やかさと落ち着いた印象を併せ持つモノトーン配色のため、ウォッシュデニムやリネンのフルレングスパンツからチラリと見せるスタイリングにもピッタリだ。個性的ながらも適度に主張を抑えた、大人の男性らしいおしゃれを楽しめる。
フィッシャーマンのカラー展開④「優しい印象で、幅広いスタイルに合わせやすい“ネイビー・ブルー”」
一時ビッグブームを起こしたネイビー靴、今では定番カラーとしてすっかり定着している。ブラックほど色のコントラストがなく優しい印象で、かつ他のカラーとの相性もいいネイビーの靴は、様々なコーディネートに合わせやすい。シックなダークトーンでブラックシューズのように合わせることができるので、普段から色物のアイテムを合わせない方でも気軽に楽しむことのできるカジュアルカラーだ。
