スケートボードカルチャーと強い結びつきをもつアメリカ発祥のシューズブランド「VANS(バンズ/ヴァンズ)」。1966年に誕生し、経営破綻の困難を乗り越えながらも「世界一の規模を誇るスケートカンパニー」にまで成長を遂げたブランドだ。今回は、スケートボード界初のシグネチャーモデルを原型とし、2022年に生誕30周年を迎える「HALF CAB(ハーフキャブ)」にフォーカス。スケートボーダーたちに愛されてきたハーフキャブの魅力と誕生の歴史を徹底解説!
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カスタムメイドのストアから始まった「VANS(バンズ/ヴァンズ)」
1966年、ポール・ヴァン・ドーレン氏とその弟であるジム・ヴァン・ドーレン氏が、仲間たちとアメリカのカリフォルニア州で設立したことから幕を開けた「VANS(バンズ/ヴァンズ)」。ブランド名の「VANS」は、これを由来とした「ヴァンと、その仲間たち」という意味を持つ。元々はカスタムメイドのストアであり、現在も展開するバンズの人気モデル「オーセンティック」をベースにカスタマーからカラーとサイズを聞き、注文を反映させるという流れを取っていた。1970年代前半に、バンズ特製のラバーソールが、スケボーの板上でもグリップがきき、安定感を保てるということから、当時のスケーターの間で流行し始める。その後、バンズの代名詞ともなった「スリッポン」が南カリフォルニアで大ヒット。1980年には約70ものショップをカリフォルニア内にオープンさせるまでの急成長を遂げた。
その後、ポール・ヴァン・ドーレン氏がバンズを離れ、事業を拡大しすぎたことにより経営破綻してしまうがなんとか一命を取り留め、現在は「世界一の規模を誇るスケートカンパニー」にまで昇りつめた。2015年にはバンズのオリジナル映画「PROPELLER: A Vans Skateboarding Video」を制作。そして2016年には生誕50周年を迎え、今でも多くの人々に愛され続けている。
スケートボード界初のシグネチャーモデルを原型としたバンズの「HARF CAB(ハーフキャブ)」とは?
1989年に経営破綻を乗り越えたバンズは、スケートボード界初のシグネチャーモデル「CABALLERO(キャバレロ)」を世に送り出す。これが現在の「HARF CAB(ハーフキャブ)」の原型となったモデルだ。シグネチャーライダーとなったのは、世界中のスケートボーダーから“スケボー界の生ける伝説”と讃えられるスティーブ・キャバレロ氏。彼は1980年代後半に人気を集めたBONES BRIGADE(ボーンズ・ブリゲード)のメンバーで、スケボートリック“キャバレリアル”を生み出した人物。周りのスケートボーダーからも憧れられる存在の彼がシグネチャーとなったモデルは、多くのスケートボーダーたちを魅了した。
現在のバンズ「ハーフキャブ」のデザインに至るまでの経緯とは?
もともと「ハーフキャブ」は現在のデザインではなく、それまでのバンズのスニーカーに見られたミドルカットよりも高いハイカットディテールを採用していたモデルであった。当初のハイカットデザインを1st モデル「キャバレロモデル」と呼び、現在のハーフキャブは2ndモデルと呼ばれている。当時、スケーターには足首の自由度が高いものが好まれたことから、自身でミドルカットにカスタムするスケーターが現れ始める。当時からバンズにもローカットの商品はあったものの、憧れのスティーブ・キャバレロ氏のモデルを着用したいがために、それぞれがカスタムし、ミドルカットにしたというのもスケートカルチャーらしい斬新さ。それを見たスティーブ・キャバレロ氏が、“いっそのことデザインをミドルカットにしたらどうか”という提案をバンズに持ちかけ、ミドルカットデザインを採用。これが「ハーフキャブ」と名づけられ、現在でも多くの人々に親しまれている。
「ハーフキャブ」というモデル名には、1stモデルを半分にカットしたという意味合いも込められているが、キャバレロ氏が生んだ「ハーフキャブ」というスケボーのトリックの意味も含まれている。しっかりとしたボリュームを備えた絶妙な丈感のハーフキャブは、スケートシューズはもちろん、タウンユースにも重宝するデザイン。シュータンとサイドには、トリックを決める若き日のスティーブ・キャバレロ氏本人の姿が。現在では、発売当初のハイカットデザインを1stモデル「BOUNTIFUL CAB(フルキャブ)」と呼び、復刻版としてたびたび再販されている。
バンズ「ハーフキャブ」の最大の特徴は“ほどよいボリューム感”と足を保護する“クッション性”
ハーフキャブの特徴はなんといっても、他には無いその肉厚なボリューム感。もともとハイカットデザインであったモデルをそのままミドルカットに変更したこともあり、バンズのSK8-HIやミッドスクールなどと比べて、足元にほどよいボリューム感を出せるのが特徴だ。シュータンや、履き口に大量の中綿を備えていることから、スケーターに重要な足首のサポート力もアップ。衝撃を緩和しタウンユースでも重宝するこの履き心地は、1度履いたらクセになること間違いなし。履き口が広めなので、ゆったりと着用できるのも魅力のひとつだ。
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