レッドウィングは何度でも蘇るブーツ界の不死鳥だ

レッドウィングは何度でも蘇るブーツ界の不死鳥だ

一生モノ。その響きに弱いオトコは多いはず。その象徴とも言えるのがブーツだろう。何年、いや何十年もかけて履き込み、メンテやリペアを施しながら経年変化を楽しめるブーツは、まさしく一生モノと呼ぶに相応しい。昨今スニーカー人気が過渡期を迎え改めてその魅力に開眼する人が多いが、往年のブーツファンのみならず若者からも支持されているのがレッドウィングだ。

世代を越えて愛される稀有な存在なぜこんなにもレッドウィングは愛され続けるのか?

日本において最も人気のあるファッションといえば、やはりアメカジだろう。ジーンズに始まり、チョアジャケットやクルーザージャケット、はたまたスウェットやネルシャツなど、ベーシックで誰でも着こなしやすいアメカジ発のアイテムは欠かせない存在だ。トレンドによって浮き沈みはあれど、昨今ヴィンテージジーンズやバンドT人気が再燃しているように、移り変わる時代やトレンドを乗り越え、定番でありつつ何度もブームを起こしている。ここ数年でレッドウィング人気が再燃しているのも、そんなアメカジの魅力が再認識されていることが背景にある。

製品としての信頼性はもちろん、流行り廃りのないスタイル、所有欲を満たす歴史や背景など、様々な要素において選びの理由があるレッドウィング。ブーツビギナーからベテランまで、全ブーツ好きから認められるその理由を探ってみよう。

レッドウィングが不死鳥である理由 その1ないなら作ればいい!からはじまった良質なブーツ作り

レッドウィングが誕生したのは今から約120年も前の1905年。19世紀終わり頃のアメリカにおける労働者は、肉体労働者がほとんどを占めていた。20世紀初頭にかけて全米に鉄道網が敷かれるなど急速に発展するなか、労働者達から耐久性が高く実用的なワークウェアが求められるように。それに伴い、様々なワークウェアブランドが勃興。リーバイスがGジャンのファーストを世に送り出したのも、ちょうど1905年だ。

そんななか、レッドウィングはアメリカ・ミネソタ州のレッドウィングシティで、チャールズ・ベックマンによって創業された。ちなみにチャールズ・ベックマンは、リーバイスを創業したリーヴァイ・ストラウスと同じドイツからの移民だ。同社はワークシューズを主軸にシューズ&ブーツを生産し、その耐久性の高さや幅広いサイズ展開によって広く支持を獲得。創業時は小規模の工場だったが、たった4年で4階建ての大きな工場を新設している。

17歳でアメリカ・ミネソタ州に移住し靴屋を営んでいたベックマンは、創業のきっかけについてこう語る。「本当に良いシューズがない」。信頼のできるシューズ&ブーツをお客に提供するためには、自分で作るしかないと思い立ったのだ。

レッドウィングが不死鳥である理由 その2ずっと同じだからこそ、完成度が高くなる

多くの信頼を集めたレッドウィングのシューズ&ブーツ。その製法は創業以来ほとんど変わっていない。金属製の型枠を使いレザーを裁断し、その革を縫い合わせ木型に吊り込み、そしてウェルトと共に靴底を縫い付ける。製法は全周にウェルトを縫い付けるオールアラウンドグッドイヤーウェルト製法。同製法は耐久性に優れる上、ソールの張り替えが可能という点も魅力だ。昨今は見た目こそ武骨でもソールを縫いつけではなく接着するブーツも多いが、レッドウィングは同製法にこだわり続けたモデルを主軸に置いている。

また、アッパーを縫い合わせるミシンは、創業当時から100年以上も同じピューリタンミシンを使用。ピューリタン社は1930年代に倒産しているが、レッドウィングは自社でメンテチームを組んで使用し続けている。いうまでもなく旧式のため縫い上げるには職人の技術を必要とし、それが技術の継承、すなわち信頼性の高いシューズ&ブーツ作りにつながっているのだ。

Plant Two
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レッドウィングが不死鳥である理由 その3海外生産ブランドが多い中、希少なMADE IN USA

レッドウィングの信頼性を担保する要因として、アメリカ製にこだわり続けている点がある。それは、裁断や縫製といった生産体制だけでなく、素材となる革作りからアメリカ製を貫く。

レッドウィングは、1987年に同じミネソタ州にある革のなめし工場SBフット社を傘下に収めている。同タンナーは、実は創業者チャールズ・ベックマンがかつて働いていた工場で、水が豊富な同州で1872年に創業した老舗だ。80年代のアメリカは、数多くのブランドが安価な労働力を求めて海外へと工場を移転させていった時代。SBフット社もその煽りを受けて倒産寸前だったが、レッドウィング社がホワイトナイトとなったわけだ。ちなみに、アッパーの縫い上げに使用する今はなきピューリタン社のミシンも、やはりアメリカ製である。

そんなレッドウィングのポリシーは、アメカジ好きにとって大いに魅力だ。名ばかりのアメリカブランドではなく、真にアメリカブランドであるレッドウィングは、だからアメカジ好きから信頼されるのだ。

レッドウィングが不死鳥である理由 その4革靴修行は不要!高い耐久性と軽やかな履き心地

ここ日本では、ヘリテージモデルを中心にアメカジ好き、はたまたブーツ好きを文字通り足元で支え続けているレッドウィング。ここまで広く、そして長く支持される理由は、前述で述べた歴史やこだわりはもちろん、足に馴染みやすく、軽く、そしてクッション性に優れているのも要因だ。

ブランドを代表するモデル・6インチ クラシックモックに使用されるレザーは、耐久性としなやかさを両立するステア・ハイドを採用。それをタンナリーで2度なめしを行う再なめしによってオイルを多く含んだしなやかなフルグレインレザーに仕上げることで、履きはじめから堅さを感じさせない。そして1952年に誕生したアイリッシュセッターに採用されたトラクショントレッドソールが、軽さとクッション性を提供。当初はハンティングシーンで足音が立ちにくいといった理由で開発された同ソールだが、現在ではコンクリート上での快適な履き心地をもたらす。

レッドウィングが不死鳥である理由 その5伝統を守りつつ進化を止めない経営で時代の変化に対応

1970年代に日本をはじめ世界で人気を獲得したレッドウィングは、その後80年代から90年代にかけての日本での爆発的ブームを受け、2005年にレッドウィング ジャパンを設立。2014年に南青山にオープンした直営店は、当時世界で唯一のヘリテージコレクションのみを扱うお店だった。

実はレッドウィングの本国であるアメリカのラインナップにおいては、6インチ クラシックモックのようなヘリテージなブーツが主流ではなく、現代的な最新のワークブーツを主に展開している。そこから得た技術は、ヘリテージモデルにもフィードバックされ、6インチ クラシックモックにはゴアテックスを採用したバージョンもラインナップされる。ヘリテージな魅力と現代の実用性を両立しているのだ。

また、2024年秋冬はファッション性をより意識したオールブラックモデル、そしてレディースのラインナップが拡充。さらに、デッドストック品や本来リジェクトされる不良品を修理して販売するアップサイクルプロジェクトなど、サスティナブルを意識した展開も行なっている。

伝統を守りつつ進化も続ける。だからこそ、赤い羽根の鳥(レッドウィング)は、変わりゆく時代の中にあっても支持され続けるのだ。

外せない名品から2024年秋冬最新作までレッドウィングの永久定番とイマドキの名品達6選

ここからは、レッドウィングの永久定番とイマドキなスタイルにハマる名品シューズを6つピックアップして紹介していく。

レッドウィングの名品1「あの頃憧れたあの色を再現した90年代名作中の名作」NO.8875 6インチ クラシック モック

90年代のレッドウィングブームを象徴するモデルといえば、この8875だろう。1952年に誕生した8インチ丈の877の系譜を継ぐ6インチモデルで、モカシンタイプのトゥとトラクショントレッド・ソールがその特徴。アッパーに採用されるレザーのカラーは時代によって変化するが、往年のファンからは1990年代に採用されていた赤みの強いオロラセット・レザーが人気を集める。そもそもはオレンジがかったブラウンカラーだったが、90年代になるとこの赤みの強いカラーに変化。その後、本来の色に戻されるが、1996年に多くの要望を受けて8875の品番を与えられ復活した。ファンのツボを絶妙に刺激した提案だ。

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レッドウィングの名品2「実は本来の色はこっちなんだけどね」NO.875 6インチ クラシック モック

1952年の誕生以来、幾度か微妙な色の変更を行いながら販売され続けるクラシックモック。1990年代に上で紹介する8875のような赤みの強いレザーになるが、2014年に誕生当初のオレンジがかったブラウンに戻すことが決定され、同レザーは新たにオロ・レガシー・レザーと名付けられた。同レザーはオイルを豊富に含み、またなめしの後に染めを施すだけで、銀面の塗装を行わないのが特徴。それにより自然な肌目や色合いとなり、履き込んだ時の経年変化もより美しくなる。

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レッドウィングの名品3「オンオフ兼用できるレッドウィングはこれ!」NO.101 ポストマン オックスフォード

1954年に軍人や警察官、そして郵便局員たちに向けたサービスシューズとして誕生。ポストマンという名は、アメリカの郵便局に正式採用されたことから呼ばれるようになった。デザインは外羽根のプレーントゥで、まさにシンプルかつベーシック。それでいて厚みのあるラバーソールが、長時間の歩行を強いられるポストマンから絶大な支持を集めた。適度なボリュームがありながらプレーンなルックスは、カジュアルコーデにはもちろん、昨今カジュアルに寛容になったビジネススタイルでも人気を博す。定番の6インチ クラシックモックにもオックスフォードタイプが展開されるなど、レッドウィングにおける選択肢の多さを実感させられる。

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レッドウィングの名品4「大人ブーツとはこういうものと教えてくれる」NO.9422 ベックマン

創業者チャールズ・ベックマンの名を冠したモデル。20世紀初頭に展開していたモデルをベースにしたプレーントゥのブーツは、採用するエクスカリバーレザーがタフさを示しつつも、すっきりとしたフォルムはドレッシーな雰囲気も備える。実はコロナ禍により苦難を強いられた生産体制によって生産中止に追い込まれていたが、多くの要望を受けて2024年の秋冬から復活。より履きやすく、より快適なフィットになるよう微調整が加えられている。とはいえ、その開発は初代を誕生させた開発チームによるもの。進化しつつもオリジナルの魅力がしっかりと踏襲されているからこそ、ファンは離れない。

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レッドウィングの名品5「ペコスってレッドウィングの商標って知ってた?」NO.1155 11インチ ペコス

かつてテキサスにも拠点を構えていたレッドウィング。同州はカウボーイの本場であることから、ウエスタンブーツが販売された。ペコスという名を冠しての誕生は1959年。ちなみにペコスとはニューメキシコに流れる川が由来で、レッドウィングが商標登録している。いくつかバリエーションが存在するが、1964年に販売された1155が大ヒットしロングセラーとなる。ここ日本では2007年に取扱いがなくなるが、品番を8159に変更し再登場。その後、品番を8845と変更されるが現在は販売が終了となっている。そんな中、2024年秋冬に1155が復活。そんな風に幾度も復刻されるのも、時代を超越する名作揃いのレッドウィングならでは。

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レッドウィングの名品6「ワークからモードまで、懐深さをさらに深めた新色」NO.8074 6インチ-クラシック モック

永久不滅の名作であり大定番の6インチ クラシックモックから新たに登場したのがこちら。アッパーに採用したオイルドレザーはブラック・ハーネス。トラクショントレッド・ソールやシューレース、アイレットもすべてブラックで統一することで、無骨さの中にモードな洗練を匂わせる仕上がりに。それにより、アメカジだけでなく様々なファッションスタイルにマッチしてくれる。これぞまさしく、進化する定番といった1足。こんな提案も、レッドウィングが愛され続ける理由だ。

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