007の過去作で登場実績があるクロケット&ジョーンズの人気モデル「HIGHBURY(ハイバリー)」。2020年から公開が延期され、多くのファンから上映開始が待ち望まれる最新作『ノー・タイム・トゥ・ダイ』でもジェームズ・ボンドが着用しているのだとか。今回は、そんなボンド御用達のクロケット&ジョーンズが作る、大人の色気ある3アイレットホールシューズ「ハイバリー」にフォーカス!
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「クロケット&ジョーンズ」は靴職人生まれ、靴職人育ちの創業者から生まれたシューメーカー
クロケット&ジョーンズは、1978年にジェームズ・クロケット(とその妹の配偶者で義理兄弟の関係にあるチャールズ・ジョーンズがイギリスにある靴の街、ノーサンプトンにシューズファクトリーを開いたことを起源とするシューズブランドだ。両者ともノーザンプトンの靴職人の家柄に生まれた熟練の職人でありながらも、早いうちから既成靴の量産に力を注ぎ、アメリカのチャールズ・グッドイヤーが開発した中底と本底(アウトソール)をウェルトを用いてミシンで縫い付ける「グッドイヤーウェルテッド製法」をいち早く導入。1924年にはファクトリーに後のジョージ6世となるヨーク公が見学に訪れたことで、イギリス国民の関心を集めた。効率よく商品を生み出し、かつ誠実なものづくりと品質の高さが評価され、第2次世界大戦中は1万足以上のイギリス軍靴を製造したことでも知られている。
クロケット&ジョーンズは多くのシューズ・アパレルブランドのOEMも手がける、イギリス靴の裏方的存在だった
現代のクロケット&ジョーンズは、世界的に評価されているイギリスシューズブランドであることは間違いないが、元々シューファクトリーとして数々のブランドのOEM(他のブランドの下請け生産)も手がけてきた。同じくイギリスのシューブランド、JOHN LOBB(ジョンロブ)やGeorge Clevery(ジョージ クレバリー)をはじめとし、アパレルブランドではイギリスブランドだけではなく、アメリカのBrooks Brothers(ブルックスブラザーズ)やRalph Lauren(ラルフローレン)など名高いブランドのOEM生産を手がけていた実績もある。
実は近年まではOEM生産をメインとしたイギリスの靴産業を支える裏方的存在で、イギリス国内でも「庶民的なシューメーカー」というイメージが強かったクロケット&ジョーンズ。4代目のジョナサン・ジョーンズ氏が現社長に就任後、OEM生産を縮小し自社ブランドに力を入れはじめた。スタンダードコレクションの他に、新たにハンドグレードラインをスタートしたことがきっかけで、独立したシューズブランドとして躍進。さまざまなハイブランドのOEM生産で培ってきたノウハウを生かして高品質な素材、職人の高い技術力、勤勉な靴づくりを続けている。たった一代で庶民靴から世界的な「イギリス高級靴」の地位を確立した、実力派シューメーカーだ。
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