ダブルライダースの礎を築いたスタンダードと言われている、アメリカの老舗ブランド Schott(ショット)の「ONESTAR(ワンスター)」。発売当時から基本のデザインは変わらず、ライダースジャケットのアイコンとして愛され続けている名作中の名作だ。今回はそんなショットのワンスターにフォーカスし、その魅力を紹介!
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ライダースの歴史を動かした米国最古参のレザージャケットブランド「Schott(ショット)」
ショットは1913年のニューヨークで、兄 アーヴィン・ショットと弟 ジャック・ショットの兄弟によって、Schott Bros.社として設立されたレザージャケットブランド。今日では完全にライダースジャケットのイメージが根づいているショットだが、当初は意外にもレインコートを製造していた。第一次世界大戦後の1918年頃には主力商品がレザーアイテムへと変わっていき、当時増加していたスポーツ&レクリエーション人口のニーズを満たすため、カジュアルなジャケットやコートを手がけるシリーズ「PERFECTO」を1928年に立ち上げ、発表した。
これがショットのライダースジャケットの原型であり、世界初となったフロントジッパー式のライダースジャケット PERFECTOシリーズの始まりである。ボタン仕様のライダースが当たり前だった当時、ジッパー式は革新的な仕様として話題を集め、その後のライダースジャケット史に大きな影響を与えることとなった。
ショットは1950年代のバイカーブームを皮切りに、大きな社会現象をきっかけに成長を遂げてきた
PERFECTOシリーズは当初、地域に密着した小さなブランドであったが、徐々に売り上げを伸ばしていく。1950年代に到来した「バイカーブーム」によって、思いがけずバイカーたちから支持を集めたことを皮切りに、1960年代末に開催された伝説のロックフェス「ウッドストック・フェスティバル」によるヒッピームーブメントや、1986年に公開された映画『トップガン』の大ヒットなど、現代にも語り継がれるような社会現象をきっかけに大きな成長を果たしてきた。そして今回のテーマである「ワンスター」は1950年代に発売され、同じく大きな転機を迎えたことでライダースジャケットの象徴として認知されることとなる。
バイカー・ロックファッションのアイコンとなったダブルライダースの傑作、ショット「ワンスター」
現在もショットの看板モデルとして君臨するワンスターは、星型のスタッズをエポーレットに配したダブルライダースジャケットとして1950年代に登場。このモデルが、ショットの人気を確固たるものへと押し上げたブランドのエースであり、現代のダブルライダースの基礎となる存在でもある。ちなみに、こちらは1950年代当時のアーカイブ。今展開されている現行のモデルと比べてみても、当時からほとんどデザインが変わらないことが分かる。
このワンスターは、バイカーファッション史に多大なる影響をおよぼしたとされる名画『ザ・ワイルド・ワン』の公開によって、当時の不良たちの間で大流行。その勢いは凄まじく、全米の学校組織がライダースジャケットの着用を生徒に禁止したほどで、この運動によってショットの売り上げが一時減少したのだそう。
しかし、そのすぐ後にロックンロール好きなストリートキッズの間で大流行したことで、ワンスターの存在は確固たるものとなった。バイカーファッションだけでなくロックファッションのアイコンとしても認められ、1970年代にはラモーンズやセックス・ピストルズらパンクロックミュージシャンたちがこぞって愛用。さまざまなカルチャーシーンに定着し、“カッコいい男の服”として、時代を超えて愛される不朽の名作となった。
ファッションアイテムとして浸透した今、ピッティでもワンスターを着用した男性の姿が
ワンスターは、バイカーファッションやロックファッションにおける権威は確立しながら、現代ではタウンユースアイテムとしても浸透。自分の一張羅に身を包んで来場する男性で溢れかえるピッティウォモでも、今っぽいアイテムを組み合わせておしゃれに着こなした姿を確認できている。
ダブルライダースのマスターピース!ショット「ワンスター」の魅力とは?
今やファッションの定番ウェアとなったライダースジャケットは、様々なデザイン、高価なものからリーズナブルなものまで幅広く展開されている。手に入れやすい価格帯のアイテムも多数あるが、せっかくライダースジャケットを着るなら、正真正銘の本物を手に入れたいというのが男の本音。ここからは、ダブルライダースジャケットのマスターピースと称されるワンスターの魅力を紹介!
ショット「ワンスター」の魅力①「商品名の由来でもある象徴的な星型スタッズ」
まずワンスターを語る上で絶対に欠かせないディテールが、モデル名の由来にもなっている星型のスタッズだ。ライダースジャケットの武骨な雰囲気の中に燦然とした輝きを放つこの星型スタッズは、両肩のエポーレットに1つずつ取り付けられている。発売当初から変わらないツメ式のスタッズデザインもワンスターならではだ。
ショット「ワンスター」の魅力②「発売当初からほとんど変わらないスタンダードなデザイン」
1950年代に登場して以来、基本的なデザインを変えておらず、各時代のトレンドを吸収しながら進化を続けているワンスター。グローブを着けたままでも掴みやすいよう配慮されたジッパーのレザータブや、左身頃の下部に配されたフラップ型のコインポケットなど、多くのダブルライダースに継承されるディテールは発売当初の50年代モデルから継承。腰元のベルトや八角形のバックルも、当初のワンスターを感じさせるデザインだ。キルトのライニングも含めて全てをオールブラックで統一したシックな佇まいも、人々を虜にしてきた魅力と言えるだろう。
ショット「ワンスター」の魅力③「丈夫で肉厚なステアハイド」
現在のワンスターの素材には、丈夫で肉厚なステアハイドが採用されている。ステアハイドは生後3〜6ヶ月の間に去勢され、2年以上成長した雄牛の革で、耐久性が高く厚みが均一という特徴があり、カーフやキップなど生後2年未満の牛革と比較すると厚みがあり、強度も高い。初めて腕を通すと硬くずっしりとした質を感じるが、着込むたびに柔らかく身体に馴染み、徐々にフィットしていく。経年変化を感じられる素材や、育てる楽しみがある点も男心をくすぐるポイントだ。
シルエット別に展開されるショット「ワンスター」の現行2モデル
ライダースはサイズ感によって、コーデのカッコ良さが半減してしまう可能性が大いにあるアウター。ショットのワンスターは、シルエット別に2モデルが展開されているため、それぞれの違いを押さえて自分に合ったワンスターを選んでほしい。
これが現行ワンスターのベーシック!日本人向けにアップデートされた「613US」
ワンスターの原モデルである「613」を、日本人の体型にフィットするようアレンジしたリサイズモデルがこちら。オリジナルのワンスターをそのまま日本人が着ると、US仕様のサイズゆえジャケットに着られている感が出がちだが、本モデルはサイズスペックを日本人の体型に合うよう調整。サイジングの不適合による野暮ったさを感じさせない、スマートなルックスに仕上がった。必然的に腰の位置が高く見えるため、スタイルが良く見えるのも嬉しいポイント。丈夫なステアハイドやヴィンテージ感漂う風合いにもこだわっており、Tシャツの上に羽織るだけでもサマになる一着だ。
シルエットを細身に、着丈と袖丈を長めにアップデートしたモダナイズモデル「613UST」
「613US」の基本的なデザインはそのままに、肩幅と身幅を若干縮めて着丈と袖丈を長めにアップデートしたのが「613UST」だ。613USよりも着丈が長めなので、現代においてタウンユースしやすいシルエットにアレンジされている。
ショットの創業110周年を記念して作られた限定モデルも要チェック!「ONESTAR RIDERS 110TH LIMITED」
ブランド創業110周年を記念して作られた、ファン垂涎の限定版ワンスター。周年企画としてファスナーはクラシックなTALON社のものを採用し、裏地には創業者のアーヴィンとブランドの人気モチーフであるブルドッグをデザインした110ドル紙幣が総柄でプリントされている。レザーは洗い加工が施されており、新品の状態からヴィンテージ感を味わえる仕様に。牛革の茶芯レザーを顔料仕上げしているため、ここからさらに経年変化を楽しめるのも嬉しいポイントだ。