ビジネスマンにとって必須アイテムである「ワイシャツ」。胸ポケットつきのワイシャツを着ているという男性も多いことでしょう。「胸ポケットつきのワイシャツはダサい」よく言われますが本当でしょうか？今回は、その真偽と共にワイシャツの胸ポケットの起源や実際にビジネスマンとして気をつけるべきポイントを紹介していきたいと思います。
スマホやタバコ、社員証、手帳、ペンなどを胸ポケットに入れているビジネスマンも多いのではないでしょうか？胸ポケットにものを入れる行為は、洗練されたスーツスタイルとはいえないかもしれません。
実は、胸ポケットなしのワイシャツの方が世界的には主流です。そもそもドレスシャツが誕生した当初には、シャツの胸ポケットは存在しませんでした。
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胸ポケットはスーツスタイルの変化の中で誕生「英国と米国の衣服に対する考え方の違いを象徴するディテール」
英国でワイシャツが誕生した当初、スリーピーススーツが主流。すなわち、「ジャケット」「ベスト」「スラックス」がワンセットになったラウンジスーツスタイルが世界を席巻していました。しかし、第二次世界大戦後にアメリカにおいて「暑い」「動きにくい」という理由から、ベストなしのツーピーススーツが誕生し流行しました。当時、懐中時計などを収納していたベストのポケットの代用として、シャツにポケットをつけたというのが有力な説のひとつ。「胸ポケット」は、英国が伝統に基づく様式美を追求するのに対して、米国は伝統よりも機能性を追求するという傾向の一端をうかがうことができるディテールなのです。
ワイシャツの胸ポケットは軍服起源という説も
もう一つの説としてミリタリーシャツ(軍服シャツ)起源が挙げられます。Pコートやトレンチコート、MA1やM65に代表されるミリタリーアイテムと言えば機能を最優先に開発された服の代表格。クラシック、モードを問わずメンズウェアへの影響は大きい。なかでもミリタリーシャツは、収納用ポケットが多く、それが起源という説にもうなずけます。
ワイシャツの胸ポケットはダサいのか？
起源はともかくとして、前述のように世界的にみれば傍流の胸ポケットありのワイシャツ。「胸ポケありのワイシャツはダサい」なんて言われますが、果たして「ダサい」とまで言い切れるのでしょうか？クラシックなスーツスタイルといえば「ゲルマン系」「ラテン系」「アメリカ系」に分類されます。胸ポケ有りのワイシャツは、アメトラ的スーツスタイル、カジュアルスーツスタイルにおいてはアリといえそうです。それを証拠にアメトラを象徴するブルックスブラザーズやギッドマンブラザーズのドレスシャツには胸ポケットが施されているタイプもあります。カジュアルなボタンダウンシャツであればなおのこと。しかし、ヨーロッパ起源のクラシックなスーツスタイルや、どこへ行っても恥ずかしくないフォーマルなスーツスタイルを目指すのであれば、胸ポケットなしが王道です。世界的には、ここ数年で胸ポケットありのワイシャツの売り上げは右肩下がりであり、完全に胸ポケット仕様を廃止するブランドが多いことも覚えておくと良いでしょう。アメリカの中にあっても金融エリートの集まるウォール街においては胸ポケットのついたワイシャツを着ているだけで、プロ失格の烙印を押されるという話もよく聞きます。
しかし、そもそも西洋ではワイシャツは下着であってジャケットを脱がないのが礼儀。「シャツの胸ポケットの有無はビジネス相手にはわからないのでどちらでもOK」という、シャツに対してやや寛容な意見も。
ワイシャツの胸ポケット有無は、自信をもって選ぶ。それこそ粋！
以上をふまえた上で、ワイシャツを選択するのは自分自身。自分のおかれた職場環境や立場、目指すスタイルに応じてシャツを選ぶ。そして万が一、海外の人から問いただされた時に自信を持って切り返すことができる状態にあることこそ粋ではないでしょうか？
「私が目指すスーツスタイルは英国スタイル。なので当然、胸ポケットはなしですよ。」
「アメトラスーツスタイルが好きだけど、やっぱりビジネスに胸ポケはダメでしょう。」
「夏以外はともかく、日本の夏は高温多湿。ヨーロッパとは気候が違うんだよ。日本の夏は、クールビズというジャケットなしのビジネススタイルが基本。君も日本で働くならそろそろ英国の懐古主義は卒業して胸ポケありのスタイルを習得しても良いんじゃない？」
「日本で胸ポケットなしのワイシャツなんか着てみろ。ボスや取引先に格好つけた男っていう烙印を押されてしまうよ。ビジネスの着こなしは相手に違和感を感じさせないことが重要だろ？ジャパニーズビジネススタイルはコレが正解なんだよ。」
胸ポケの有無にこだわるだけではなく、自分のスーツスタイルやシャツの選択にプライドや哲学を持つ男性が増えることを願ってやみません。
