唯一無二の特殊時計!ジン(SINN)の魅力と定番モデルを紹介!

唯一無二の特殊時計!ジン(SINN)の魅力と定番モデルを紹介!

独自の技術を採用した特殊性能を持つ腕時計で男心をくすぐる製品を展開するドイツブランド「ジン(SINN)」。既存の技術にとらわれがちな機械式腕時計と一線を画すそのコレクションは本物志向の男たちにとって有力な選択肢に挙がるはず。今回は、特殊時計のパイオニア「ジン」の魅力について紹介!

ジンとは

技術大国ドイツが誇る時計メーカー、ジン。創業時からプロ仕様の計器を数多く手がけ、一部モデルでは実際にドイツの税関犯罪局や警察特殊部隊、消防レスキュー部隊、対テロ特殊部隊GSG9など本物のプロ集団が正式採用している。ガスやオイルを時計ケース内部に充満させるなど、他メーカーではおよそ考えつかないような独自の技術によって驚異的な耐久性や視認性を実現。時計愛好家からミリタリーファン、一般ユーザーに至るまで幅広い層の心を掴む実用性抜群のコレクションを数多く展開する。

ジンの歴史

1961年に誕生したジン。創業者のヘルムート・ジンは、第2次世界大戦にて活躍した空軍パイロットであり、飛行教官を務めた生粋の空の男。ヘルムート・ジンはその経験から、パイロットが最も必要とする時計は”正確無比な計測機器”であることに気づいていた。そして彼は、フランクフルトで航空用の腕時計を作り始め、ブランド名に自身の名前を冠した。「ジン スペツィアルウーレン(ジン特殊時計会社)」の名の下に、プロユースを想定した航空機器のような製品を積極的に制作。ヘルムート・ジンが初期の頃に開発したパイロットウォッチ「model 156.B」は、飛行中の過酷な環境下でも使用できる精度を持っており、一時期はドイツ空軍でも使用されていた。

「model 156.B」

1994年9月にはローター・シュミット工学士がジン社の経営を引き継いだ。スイスの名門ブランド、IWC(インターナショナル・ウォッチ・カンパニー)の取締役兼製造部門マネージャーとして工程管理、製造、商品開発に携わった経験を持つローター・シュミット。彼が執った経営方針は、これまでのジンのプロユース志向を維持しつつ、さらなる新技術の開発で独自のプロダクトを展開するというものだった。素材や機構など一度新しい技法が確立されると、その技法だけにとらわれてしまいがちな時計業界。しかしジンはその歩みを止めることなく、先進技術を積極的に採用。ケース素材に潜水艦の船体と同じものを使用したり、時計内部にシリコンオイルを充填させることで防水性能を高めるなど、従来の常識を根底から覆すような革新的な技法を次々と生み出した。これらの技術を採用したコレクションで業界や愛好家のみならず一般ユーザーの関心も集め、特殊時計の分野で確固たる地位を築き上げている。

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1994年よりジンのCEOとして指揮を執るローター・シュミット氏

ジンの腕時計に搭載される独自の特殊技術

ムーブメントの精度を安定させる特殊潤滑オイル

機械式腕時計のムーブメントには、パーツが円滑に作動するよう潤滑オイルが使用されている。一般的に使用されている潤滑オイルは、-25℃程度の環境になると粘性が高くなり、時計の精度が維持できなくなってしまう。しかしジンが独自開発した特殊オイルは、-66℃まで粘性を維持することを実現。さらに、+228℃までは蒸発が起きない。
この特殊潤滑オイルを使用したジンのモデルは、急激な温度変化をものともしない耐久性を誇り、-45℃から+80℃の温度範囲で精度が保証される。たとえシベリアだろうとサハラ砂漠だろうと、ジンの時計は平然と時を刻み続けるのだ。

ケース内の湿気を防ぐ「Arドライテクノロジー(Ar-DRY TECHNOLOGY)」

ムーブメントに注入されている潤滑オイルは、時計内部に含まれた湿気や水蒸気により劣化することがある。機械式腕時計の精度に悪影響を及ぼしかねない湿気を、ジンは「ドライカプセル」、「プロテクトガス」、「EDRパッキン」の3つの技術要素からなる「Arドライテクノロジー」で徹底的に対策している。
Arドライテクノロジーの中核をなす「ドライカプセル」は、乾燥剤の役割を持つ硫酸銅が充填された特製のカプセル。これを組み込むことにより、ケース内の水蒸気を吸収し、時計内部の湿気を取り除く。ドライカプセルは色の変化がインジケーターとなっており、吸収された水分量が増すにつれて淡いライトブルーからネイビーブルーへと変化する。

ドライカプセルによって潤滑オイルの品質は高水準に保たれているが、劣化を起こした場合も「プロテクトガス」によって対策している。長期間機械式腕時計のオーバーホールを行わずに劣化した潤滑オイルは”放電腐食”という現象を引き起こす可能性がある。この放電腐食を防ぐため、時計のケース内に希ガスと呼ばれる極めて安定したプロテクトガスを充填させることにより、空気中に含まれる静電気や不安定ガスを排除。腐食が侵食するのをガードするのだ。このプロテクトガスが充填されたモデルには、封入の印として文字盤に「Ar」のマークが配される(一部のモデルは裏蓋に刻印)。さらに、時計ケースを保護するパッキンには特製の「EDRパッキン」を使用。従来のニトリルゴム製パッキンに比べ、水分浸透を25%にまで削減する。

Arマーク(左)とEDRパッキン(右)

ケースを硬化させ、時計の耐傷性を上げる「テギメント加工」

テギメントとは、窒素を使用した浸炭加工を施すことにより、時計のケース表面に炭素分子を拡散・浸透させ硬化させる技術。セラミックと同等の1200ビッカース、もしくはそれ以上の硬度にすることで時計に傷がつくのを防ぐのだ。この加工はマットやポリッシュなどあらゆる種類の仕上げを施すことも可能で、ケースの外観を美しく完成させられる。さらに金属内のニッケルが表面に出てこないため、金属アレルギーの人でも安心して着用することができるのも特徴。テギメント加工の技術自体は以前よりあったものだが、いち早くこの技術を取り入れ、時計製造の分野へと応用したメーカーはジンが世界で唯一である。

テギメント加工を施したダイバーズウォッチ「U1000」

ケースにシリコンオイルを封入し、5000m防水を実現する「ハイドロ・システム」

ダイバーズモデルは、本格仕様になればなるほど耐水性能に加えて耐圧性能が求められる。深く潜水すると外気圧と内部気圧の差により時計ケースが破壊されてしまうことから、多くのダイバーズウォッチはケースを分厚くすることで耐圧性能を維持している。
ジンは、時計ケースにシリコンオイルを注入することにより、ケース内部の気体の収縮率を海水や淡水とほぼ同じにした。外気圧に対してまったく同じ内部気圧で押し返すというパスカルの原理を応用したハイドロ・システム。これにより、5000mという世界基準で見ても最高レベルの防水性能を分厚いケースを使用せずに発揮。それだけではなく、水中でのくっきりとした視認性も実現している。ガラスとほぼ同等の屈折率を持つシリコンオイルは、光の反射による視認性の低下を避け、文字盤の視野角度を飛躍的にアップさせるのだ。
時計ケース内にシリコンオイルを充満させる発想自体も驚きだが、その状態で針が動くことにも驚愕。さらに通常のものよりクリアに見えてしまうという、常識はずれながら素晴らしい技術である。

左側がシリコンオイルを注入したハイドロ・システム採用モデル。ハイドロを封入していない右側のモデルと比較するとその視野角の広さが分かる。

耐磁性能の「マグネチック・フィールド・プロテクション」

精度に悪影響を及ぼす、機械式腕時計の大敵である磁気。防磁性能を持つ時計自体は1960年代ごろから作られており、多くのメーカーはムーブメントをインナーケースで守ることで磁力から保護していたが、ジンはケースではなく軟鉄製のリングでムーブメントを囲むことにより磁気に対応。さらに文字盤と裏蓋にも軟鉄製の素材を使用することで、ほぼ完璧に磁気をシャットアウトした。磁力の影響を受けない軟鉄を利用したマグネチック・フィールドにより、ジンの腕時計は80,000A/mという驚異の防磁性能を実現したのだ。

クリップを吸い寄せるステンレススチール製の裏蓋(左)に対し、マグネチック・フィールド・プロテクションによる裏蓋(右)は完璧な防磁性能を発揮。

ジンの腕時計に採用される”SZムーブメント”とは

ジンでは、自社によって改良したムーブメントを「SZムーブメント」として腕時計に採用。ブライトリングやオメガ、パネライなどのモデルにも採用されるETA社の名作ムーブメント「バルジュー7750(Valjoux7750)」などをベースに、ジンの熟練職人たちが技術的な新設計を施す。
企画、設計、プロトタイプの制作という多くの工程を経て量産されるSZムーブメントは、一つひとつが特別な技術特性を持っており、ジンが展開するそれぞれのモデルに適応する。

ムーブメント「Cal.SZ01」

バルジュー7750をベースにし、2003年に開発がスタートしたムーブメント。クロノグラフ機能の読み取りやすさを最優先に考えられており、通常の30分積算計のかわりに60分積算計を搭載。しかもそれをスモールセコンドではなく、センターに飛行機型の積算計針を配置した。「EZM10.TESTAF」や「140.A」など、人気の高いモデルに多く採用されているムーブメント。

 

ムーブメント「SZ02」

母国ドイツでのワールドカップ開催年である2006年に完成し、記念モデルの303.FOOTBALLというクロノグラフに搭載されたムーブメント。SZ01と同じくバルジュー7750がベースだが、60分積算計をオフセンターに配置するなど若干異なるアプローチで作られている。現在ではダイビングクロノグラフの「U1000」など、高い視認性を必要とするモデルで採用。

ムーブメント「SZ03」

フルカレンダーが搭載されたムーブメント、バルジュー7751がベースとなっているSZ03。52週の暦週表示が特徴的なキャリパーで、ひと目でカレンダーの週表示を認識できるよう、60分積算計と並べて配置する改良が施されている。スポーティかつエレガントな雰囲気を併せ持ったフランクフルト・ファイナンシャル・ウォッチ「6052」に搭載。

ムーブメント「SZ04」

フランスメーカーのような芸術性の高い腕時計「6100.Classic」などに採用されているSZ04。精密な振り子時計のような大きなダイヤルが特徴で、なんと「ユニタス6498(Unitas6498)」というポケットウォッチ用のムーブメントを改良している。レギュレーター機構を追加しており、時間、分、秒表示のそれぞれが独立した3つのダイヤルを持つ。

 

ムーブメント「SZ05」

SZ01、SZ02と同じくバルジュー7750をカスタマイズしたムーブメント。3時位置のクロノグラフ60分積算計と9時位置のスモールセコンド表示を特徴とし、必要最小限のすっきりとしたレイアウトに設計されている。ブランド創立50周年限定モデルの「358.JUB」に搭載。

ジンの定番モデルを紹介

ジン「U2」

ジン独自の素材である、ドイツ最新鋭の潜水艦Uボートの鋼鉄を時計ケースに使用したダイバーズコレクションの「U」シリーズ。Uボートスチールは海水耐性に優れ、残留磁気を帯びずに反磁気性があり、表面硬度が非常に高いという特徴を持つ。回転ベゼルにはジン独自のテギメント加工が施されており、硬度は全モデルの中でも最高クラスの1500ビッカースを誇る。ムーブメントの精度を保つ「ドライカプセル」を搭載し、2000mの耐圧テストもクリアしているプロフェッショナル仕様のダイバーズウォッチ。

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ジン「903.ST.AUTO.B.E」

ブライトリングの名作「ナビタイマー」と双子の関係にある「903」。1979年、クオーツショックによる経営危機に立たされていたブライトリングから部品とデザインの権利を買い取ったことにより誕生した903シリーズ。パイロットやエンジニアのための機能が盛り込まれた計時機器で、インナーベゼルに刻まれているスケールから速度や距離を始めとした、あらゆる計測に対応する回転計算尺を搭載。クラシックなパイロットウォッチを愛する人にとっては最高のクロノグラフと言えるだろう。

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ジン「103.B.AUTO」

優れた視認性と計時精度を追求し、シンプルなダイアルを備えたジンの基本精神を現すかのようなクロノグラフ。1960年代にドイツ空軍に正式採用されたモデルから着想を得ており、ブラックカラーの両方向回転式ベゼルが独特の魅力を放つ。

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ジン「556」

先進的なジンのテクノロジーと世界観を体感するための入門編的なモデル。必要最低限の機能ながら、高い品質と優れたコストパフォーマンスを誇る。シンプルで飽きの来ないデザインのため、長きに渡って愛用できる。

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