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2019年に登場した「エアマックス720」は、エアマックスシリーズのなかでも最大容量のエアユニットを搭載したモデル。1987年の登場以来進化を続けてきたビジブルエアだが、ついに38mmボリュームのエアユニットソールを搭載するまでに至った。今回はナイキの「エアマックス720」にフォーカスし、その魅力と現在購入可能なモデルを紹介!
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90年代のブームから現在に至るまでハイテクスニーカー界を牽引「エアマックス」
もはや知らない人はいないであろうナイキのエアマックスは、1987年にシューズデザイナーのティンカー・ハットフィールドがデザインしたのがはじまりだ。最大の特徴はミッドソールに注入された空気が”外から見える”、ビジブルエアのデザイン。最初期ではヒール部分のみだったビジブルエアは、1995年に登場したエアマックス95で前足部にも搭載され、社会現象を起こすほどの成功を収めた。2年後に発売されたエアマックス97ではビジブルエアが全周にわたり搭載。そして2018年には過去最大容量のエアを搭載する「エアマックス270」が発売され話題を呼んだが、翌2019年にその記録を上回る「エアマックス720」がリリースされたのである。90年代を牽引したエアマックスの復刻モデルも根強い支持を得ているが、ナイキのイノベーションが詰まった近代エアマックスもストリートで絶大な人気を誇る。
38mmボリュームの最大容量・全方位エアを搭載するモデル「エアマックス720」
エアマックス720は、2019年にナイキから発売されたシリーズ最新作のエアマックス。エアマックスといえば1987年の初登場以来ランニングシューズとしてリリースされてきたが、前作のエアマックス270に続き今作もライフスタイル向けに開発されたもの。アスリートだけでなく、ストリートでの着用をメインに想定して作られている。過去最大容量のビジブルエアを搭載しているのが特徴で、シューズの名前は縦から見ても横から見てもエアが360度見えることに由来。フルレングスエアユニットが搭載されたのは「エアマックス97」が初めてだが、そのボリューム感は比較にならないほどである。
エアマックス720のエアユニットを開発したのはザカリー・エルダーという技術者で、開発期間は実に7年間。また、環境問題に配慮しエアユニットには製造過程で出た廃棄物の75%が再利用されているのも現代のエアマックスらしいポイントだ。2019年に発売されたモデルながら、ジョーダンブランドのシューズやエアモアアップテンポなど、早くも「720 Air(720エア)」を搭載したモデルが展開されている。
エアマックス720を構成する3つの特徴
エアマックス720の特徴①「シリーズ最大を誇るエアユニット」
エアマックス720の最大の特徴といえば、これまでのシリーズで最も高さのあるエアユニットだ。2018年に発売されたエアマックス270が厚さ32mmで当時歴代最厚だったが、720はそれをさらに超える38mm。史上最大の体積を誇るカカトのエアによって、体感したことのない弾みと快適さを生み出す。
さらにカカトだけでなくシューズの全方位をカバーするエアユニットによって、360度の方向から足を包み込む。縦360度+横360度=「720」という意味から名付けられたネーミング通り、どの角度からもエアを視認することが可能。あらゆるパーツを組み合わせることによってソールにボリュームを持たせる「ダッドスニーカー」とは異なるアプローチだが、その存在感はエアマックスだからこそなせる唯一無二のもの。見た目のインパクトだけでなく、つま先からカカトまで続くクッショニングによって得られる「空気の上を歩く」ような履き心地も圧巻だ。
エアマックス720の特徴②「自然からインスピレーションを得た独創的なアッパー」
エアマックス720のデザインは、自然からインスピレーションを得て作られている。展開されているカラーに、光が当たる角度によって色合いが変化するグラデーションを採用したものが多いのも特徴。溶岩やオーロラ、天の川、朝日や夕日など、さまざまな自然現象や動きのエネルギーから生まれる有機的な光をアッパー上で表現しているのだ。
サイドから放射状に広が波のようなデザインは、継ぎ目のないシームレス仕様。ボリューム感はあるもののパンチングを施したファブリックを使用することで通気性を確保している。さらにサイドにも大きなベンチレーションの窓を設けており、重厚感からは想像がつかないような風通しの良さを実現。スウッシュは往年のエアマックスシリーズ同様、小ぶりなものを採用している。
シュータンには、「AIR MAX」ロゴを配置。エアマックス270から採用している独創的なフォントが目を引く。シューレースは細めの平紐を採用。
エアマックス720の特徴③「空気状を歩くような心地のアウトソール!ロゴデザインには一悶着も」
アウトソール側からも、エアソールの圧倒的な存在感がうかがえる。通常のスニーカーのようなトレッドパターンはなく、ソールの縁を包み込むようにエアユニットを配置。エアユニットそのものが地面と接触することから、空気の上を歩くような歩行感を実現した。中央部には「AIRMAX」のロゴを配置している。前作のエアマックス270から採用されている仕様だが、実は一悶着あったデザインだ。このロゴデザインがアラビア語で「アッラー(神)」を意味する言葉に似ていることから、顧客の一人がインターネット上で回収を訴えたのである。地面を踏みつけ、泥に汚れることが前提とあるアウトソールにこのロゴを配することは神への冒涜とし、回収を促す活動がネット上で勃発。2019年1月時点で7,000人以上の署名が集まった。
ナイキのロゴデザインについての係争は過去にもあり、1990年代にはエアベーキンなど複数モデルにおいて「Air」のデザインが「Allah(アッラー)」に見えるとして約38,000足の回収騒ぎになったことも。今回の訴えに対しナイキはエアマックスの商標を図案化したものだと説明。あらゆる宗教を尊重しており、他の意味や表現は意図していないという姿勢だ。前作エアマックス270に続き、エアマックス720にも同様のデザインを採用していることから、ナイキの美学がうかがえる。
現在買えるエアマックス720のおすすめモデルを紹介
エアマックス720は豊富なカラーバリエーションを展開しているほか、エアジョーダンとのコラボシューズなど特別モデルも多彩にリリースしている。ここからは、現在購入可能なエアマックス720のおすすめモデルを紹介!
未来的なシルエットを引き立てるベーシックカラー「エアマックス720 NORTHERN LIGHTS」
1stカラーである”NORTHERN LIGHTS”は、エアマックス720を象徴するベーシックモデルだ。光沢のあるメッシュファブリックを採用し、アッパー全体をメタリックなパープルカラーで配色。ミッドソールにはミッドナイトブルーを採用し、パープルカラーとのグラデーションがオーロラの輝きを想像させる。シューレースやサイドパネルには渋いブラックカラーを配置。未来的なシルエットと自然界を意識したカラーリングが新世代エアマックスにふさわしい美しさを構築している。
ライトなグラデーションが独創的なディティールを際立たせる「エアマックス720 COOL GREY」
自然にインスピレーションを得た、淡いグラデーションがアッパーの独創的なディティールを浮き彫りにさせるとともに、アーシーなムードを演出する一足。シュータンやシューレース、サイドパネルにはグレーを配色しつつ、クリアなエアソールによって明るい印象に。ブラックのスウッシュやヒールタブが全体の雰囲気を引き締める。
濃淡をつけたブラックでシックな雰囲気を備える「エアマックス720 BLACK」
光沢のあるメッシュを採用し、アッパー全体をブラックカラーでまとめ上げた一足。オールブラックではあるものの、エアソールをはじめとする独創的なデザインによって重苦しい印象はなし。シューレースやサイドパネルには深みのあるブラックを、アッパーにはグレーブラックを配色することで、エアマックス720らしいメリハリのある顔つきに仕上げている。
アッパー全体にレインボーグラデーションで彩りLGBT問題にフィーチャー「エアマックス720 Be True」
2012年よりスタートした、NIKEが毎年展開している“Be True”。世界各地で毎年6月に行われるLGBTの祝祭「プライド月間(Pride Month)」に合わせ、それをサポートする意味合いを含めたコレクションだ。2019年の“Be True”コレクションでは、アッパー全体にオフパレットの8色のスペクトルを配し、LGBTの象徴でもあるレインボーカラーを落とし込んだエアマックス270をリリースした。ストーンウォールの反乱の50周年を記念し、LGBTの権利を訴えた活動家でレインボーフラッグのデザイナーの故Gilbert Baker(ギルバート・ベイカー)氏を称えた一足に仕上がっている。
トゥからヒールにかけてのレインボーグラデーションは、720の特性をうまく活かした唯一無二のカラーリング。一見すると派手な印象だが、シュータンやシューレース、サイドパネルやヒールカップなど随所にブラックを配置することでまとまったデザインに仕上げられている。38mmのソールは、アッパーと対比を演出するかのようなクリアなエアユニットを採用。サイドにはギルバート・ベイカー氏のサインをプリントしている。
複合素材やジップファスナーで存在感抜群のハイカットモデル「エアマックス720 SATRN」
エアマックス720SATRN(サターン)は、伝統的なバスケットボールシューズのスタイルと履き心地を取り入れた一足。アッパーには重厚な風合いを演出するスムースレザーとシンセティックレザー、さらに伸縮性に優れるエラスティックを採用している。サイドにはハイカットながら着脱を容易にするジップファスナーやスナップボタン、ヒールループを設置。ナイキ史上最大のエアユニットが、存在感抜群のビジュアルに磨きをかける。
ポップなアッパーと38mmエアソールの組み合わせが随一のインパクト「エア モア アップテンポ720」
1996年に発売されたナイキの名作「AIR MORE UPTEMPO(エア モア アップテンポ)」。アッパーに描かれた大々的な”NIKE AIR”の文字が特徴の一足だ。NBAではマイケル・ジョーダンの盟友、スコッティ・ピッペンが着用していたことで有名。日本では「モアテン」の愛称で知られ、現在でも復刻モデルは高い人気を誇る。そんなモアテンに厚さ38mmのエアユニットを搭載させたのが、エア モア アップテンポ720。サイドパネルには、おなじみのポップなフォントで内側に”AIR”、外側に”MAX”を配している。1996年の発売当時最大容量のエアを搭載したモデルが、2019年におなじく最大容量のエアソールを搭載している点もファンにとって感慨深い。
履き心地の機能性にもこだわるジョーダンブランドの一足「ジョーダン プロト マックス720」
エアマックスシリーズ同様、ナイキを象徴するエアジョーダンシリーズ。バスケットの神様を称えるシューズに全方位エアバッグを搭載させたのが、「ジョーダン プロト マックス720」だ。宇宙飛行をイメージした未来的なスタイルで、リップストップナイロンをベースにエラスティックとパテントレザーを組み合わせたアッパーが耐久性と軽量性を兼ね備える。ソックスのようにぴったりフィットするインナーブーティー構造により、履き心地も快適。独創的なデザインのシュータンタブやヒールタブで着脱もラク。さらにフィット感を調整できるベルトクロージャーシステムや、足首をぐるりと囲むアイレットループでシューレースを自分流にアレンジできる。