![ビジネススーツに合う秋冬コートは?王道からハズしアウターまでを紹介](https://otokomaeken.com/wp-content/uploads/2024/11/3f44f24fa57b8d9dc2f8d3327f75eec9110d0b48793424cdb6a6ef0418d50480-750x396.jpg)
秋冬のビジネススーツスタイルに欠かせないコート。チェスターコートやステンカラーコートを合わせてクラシックに装うのは王道だが、昨今ではビジネススタイルのカジュアル化が進んでいる影響もあり、あえてカジュアルアウターを取り入れた装いも浸透してきており、秋冬のビジネススタイルの選択肢は広がっている。今回は、“ビジネススーツに合うか?”という視点から種類別にコートを紹介!
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ビジネススーツに合うコートを選ぶ際の4つのポイント
ベーシックなスタイルに落とし込むなら、ブラック、グレー、ネイビー、キャメルあたりが基本のカラーとなる。デザインも無地が基本で、チェック柄などが入った柄モノはチャレンジ枠。ビジネススーツに合わせるコート選びは、基本的に以下の3点をおさえておきたい。
①【守り】職種に関わらず無地のフォーマルなコートは最低1着は所有しておくのがベター
②【守り】Pコートなどの丈が短いコートでも、スーツのジャケットの裾や袖が隠れるぐらいの着丈・袖丈を選ぶ(※オーバーサイズを選ぶということではないため注意)
③【攻め】職種やTPOに応じて、ハズし的なデザインのコートを所有することも検討する
④【攻め】色柄の攻め具合は、職場のルールやTPOに合わせる
ここからは、スーツに合うコートをカテゴリ毎に見ていく。まずはビジネススタイル王道のコートを5つ紹介!
ビジネススーツに合う王道コート①チェスターフィールドコート
19世紀にチェスター・フィールド伯爵が好んで着ていたことから、その名を付けられた「チェスターフィールドコート」略して「チェスターコート」。冠婚葬祭などにふさわしいフォーマルスタイルから、スーツ以外のカジュアルスタイルまでカバーできる着回し力の高さが魅力で、ダークネイビーやチャコールグレーなど暗めのトーンを選ぶほどフォーマルな印象が強まり、あらゆるビジネススーツとマッチする。歴史を遡ると、上襟がベルベット素材でフロントボタンが比翼仕立てになったものがクラシックであるとされており、フォーマルな雰囲気も高まるため、スーツやジャケットにコートを合わせるスタイリングが多いという方は、比翼仕立てのチェスターコートを探してみては?ジャケットと同様に、シングルとダブルの違いだけでもかなり印象が変わってくるため、チェスターコートを購入する際は、スーツを着ていって手持ちのものに合うかどうか一度試着してみるのがおすすめだ。
ビジネススーツに合う王道コート②ステンカラーコート
ステンカラーコートは、トレンチコートから派生したと言われるレインコートの一種であり就活生からデキるビジネスマンまで幅広く着用されるビジネススタイル定番のコートだ。「ステンカラーコート」という名称は和製英語であり、正式名称は「バルマカーンコート(Balmacaan Coat)」で、他にも「バルカラーコート」「スタンドフォールカラーコート」などと呼ばれることも。後ろ襟が高いシャツのようなデザインで、シンプルで上品なコートだ。秋冬はウールやカシミアの保温性が高いものがメインで、春用のスプリングコートはコットン製のギャバジン素材やナイロンなどを使用した軽いものが多い。また、クラシックなステンカラーコートは、ラグランスリーブでフロントボタンが比翼仕立てになったものが基本形だが、最近ではセットインスリーブや比翼ではない通常のボタンデザインのものも珍しくない。
ビジネススーツに合う王道コート③トレンチコート
ハンフリー・ボガートやアラン・ドロンなど、往年の名優が公私にわたって着用していたことから、“トレンチコートといえばクールな男のアイテム”というイメージを持っている方も少なくないだろう。第一次世界大戦時に英国軍に向けて開発されたミリタリーコートがルーツの伝統的なアウターウェアでもあり、1930年代にバーバリーやアクアスキュータムなどの老舗英国ブランドがファッションアイテムとしてブラッシュアップしたという歴史を持つ。春コートのイメージが強いトレンチコートだが、ライナー付きのモデルや中にインナーダウンを着込むなどすれば秋冬でも大いに活躍が期待できる。ルーツはミリタリーであるため、肩のエポーレットや襟元のチンストラップ、ウエストベルト、防水加工のギャバジン素材など、今でも“軍モノ”のディテールを残しているのが特徴だが、英国発祥アイテムのせいか、不思議とスーツスタイルに馴染む。
ビジネススーツに合う王道コート④アルスターカラーコート
一見するとダブルブレステッドのチェスターコートに見えるが、急角度のV字を描くノッチが特徴の「アルスターカラーコート」。もともとは北アイルランドのアルスター地方産のウールを使用したコートにルーツをもつアウターだ。チェスターフィールドコートと比較して、ややスポーティーな仕上がりになっているが、しっかりとドレステイストはキープしているのでスーツとの相性は◎ 定番であるチェスターコートとは異なり流通量が少なく着用者もグッと減るため、さりげなく違いを出したいといった際に重宝することうけあいだ。
ビジネススーツに合う王道コート⑤ポロコート
19世紀のイギリスで盛んであったポロ競技の選手が、競技の合間の待ち時間に着用していたウェイトコートにルーツを持つコート。1920年代に行われたイギリス対アメリカの国際試合で、イギリスのチームが休憩時間に着用していたコートがアメリカで注目を浴び、アイビーリーグの学生を筆頭にアメリカ東部と中西部の一般大衆に広まっていった。その後、ブルックスブラザーズ社がこのデザインのコートを「ポロコート」と名付けて発売。以来その名称が定着し、ファッションアイテムとして流通した歴史を持つ。一見するとアルスターカラーコートと似ているが、ポロコートの特徴としてアルスターカラーの他に「バックベルト」「パッチ&フラップポケット」「ダブルブレステッド6B仕立て」「ターンナップカフ(袖口の折り返し仕様)」などが挙げられる。アルスターカラーコートと同じく、ドレステイストをキープしながら、スポーティーな印象を出したい際に重宝するアウターだ。
※ポロコートとアルスターコートのデザインの違いについては明確に定義されておらず、メーカーによって呼び名が逆になることもある。
続いては、ビジネススタイルのハズしとしても使えるカジュアルめなコートを紹介!
ビジネススーツにハズしを加えられるコート①ラップコート/ベルテッドコート
ボタン開閉のチェスターコートやステンカラーコート以外で、“周りとは違う感”を出したいなら、ウエストベルトでフロントを閉めるタイプのエレガントなラップコート/ベルテッドコートがおすすめ。ボタン付きでもベルテッド仕様を取り入れたコートも増えており、ベルトの付け外しでどちらのデザインも楽しめる。
ビジネススーツにハズしを加えられるコート②Pコート
19世紀末から、英国海軍や漁師たちの間で着用されてきたPコート。Pはオランダの衣服の「pij jekker」=「ラシャ(ウールの一種)のコート」から由来したもの。派生して「Pea Jaket」という言葉が生まれ、現在のPコートという呼び名に至る。高密度なメルトン素材や風の侵入を防ぐ重厚なダブル仕様の前立て、集音効果を目的とした大ぶりな襟など、機能美的なディテールが特徴として挙げられる。また、丈の短いデザインが主であるため、スーツスタイルにPコートを合わせる際はジャケットの裾がはみ出ない丈のものをチョイスしたい。スーツスタイルにももちろん合うが、カジュアルな印象のコートなので、ジャケパンなどのビジカジスタイルとの相性も◎
ビジネススーツにハズしを加えられるコート③ダッフルコート
ダッフルコートは1820年頃、冬に荒れ狂う北海で命がけの漁を行う漁師たちが着ていた防寒コートが起源とされているアウター。その後、第二次世界大戦において英国海軍の防寒着として採用され、大戦後に余剰在庫が払い下げられて市場に多く出回ったことから、ファッションアイテムとして定着した。防寒に特化した厚手のメルトン生地と、漁師が手袋をした状態でも着脱しやすいように採用されたトグルディテールが、その背景とは裏腹に良くも悪くもソフトで優しげな印象を醸し出す。ブランドとしてはイギリスのグローバーオールやインバーティアのダッフルコートが定番だ。
ビジネススーツにハズしを加えられるコート④ダウンコート
アウトドア色が強かったダウンジャケットも、近年はスーツにあわせても違和感がないようなスマートで都会的なモデルが多く登場。それに伴いビジネススーツにダウンジャケットを合わせるスタイルも徐々に浸透してきた。丈が長くエレガントなダウンコートも同様。数あるアウターの中でもピカイチの防寒性を誇るのが最大の特徴だ。スーツに合わせるダウンアイテムは、スーツのジャケットの裾がはみ出ないよう丈がやや長めに設定されたものを選ぶのがポイント。ドレッシーな雰囲気漂うダウンコートが様々なブランドから展開されているため、スーツに合わせるアウターとして選択肢に入れるのもアリだ。
ビジネススーツにハズしを加えられるコート⑤キルティングコート
その名の通り、キルティング素材を使ったコート。キルティングアウターの代名詞とも言える英国の名門ブランドのバブアーやラベンハム、同じく英国の老舗アウターブランドであるマッキントッシュなどが古くからの定番だ。ちなみに、キルティングジャケットの元祖はイギリス生まれのハスキーというブランドだと言われており、海外ではハスキージャケットと呼ばれることも。元々が乗馬用のアウターだったのでスーツに合わせることはほとんどなかったが、昨今はスーツへのコーディネートが定着しており、ピッティの会場でも見かけることが少なくない。
ビジネススーツにハズしを加えられるコート⑥モッズコート
モッズコートといえばM-51モデルが王道。これは、1950年代に採用されたアメリカ軍の極寒防寒衣料の51年型モデルのことを指す。正式名称は、アメリカ軍への物資調達時に使用されるMIL規格にて規定された「PARKA SHELL M-1951」だ。1960年代のイギリスにおいて、細身のスリーピーススーツにアメリカ軍払い下げのM-51を羽織ったモッズ(イギリスの若い労働者)にちなんで、日本のメディアが「モッズコート」と呼び始めたのが現在の名称の始まり。映画『踊る大捜査線』において、織田裕二の演じる青島俊作が着用したことから日本ではそのイメージも強い。武器などの装備を身につけた上から着用できるように身幅がゆったり作られているのが特徴。他にも肩のエポーレットやフィッシュテールなどが特徴として挙げられる。かなりハズしの着こなしになるため、TPOを考えてコーディネートを組みたいコートだ。